フレディマーキュリーのルーツの島
どちらかと言えば、海より山が好きだ。
山のほうが落ち着くし居心地がいい。
BBQするなら砂浜より川辺でやりたいし、山の日が制定されたときは妙に心が踊った。
たぶん前世は山奥で竹でも刈ってたんだと思う。
そのくせダイビングのライセンスは持ってる。
しかも1番初級のやつじゃなくてその次のレベルのやつ。エジプトで取った。
別に取るつもりは無かったけど、そのときダイビングのライセンスを取るくらいしかやることがなかったから取った。
エジプトにはダハブっていう人間をダメにする街がある。世界にいくつかある「堕落の神」に愛された街のひとつだと思う。
あとはネパールのポカラとか、インドのマナリーとか、タイのパーイとか。
そしてまた別の、新たな楽園を見つけた。
べつに大きくも小さくもない微妙なサイズの島。
ぼくは今その島でビールを飲みながらボーッと海を眺めてる。
あれっお前ふつうに海好きやん、とか思われるかもしれない。
自分でもまぁ海も悪くないやん、という思いが芽生えてきている。
でもここが特別なんだと思う。
海というより、この島と、島に住まう人たちの空気が心地いいのだ。
この島に来てから、ぼくはテントの中で寝泊まりしている。
日が昇るとテントの中は燃えるように暑くなる。おかけで毎日規則正しく早起きできる。
でも早く起きたからといって特になにをするわけでもない。
ハンモックに寝そべって読みかけの小説を読んだり、上半身裸でアコギをポロポロ弾いたりする。
昼ごろになると近くに住んでる漁師のオッさんが漁から帰ってくる。ぼくは何気なく彼のところに遊びにいく。
そこで市場に売らないような小さな魚を安く売ってもらう。
調理法とかさばき方とかよく分からないから、とりあえず焼いて塩ふって火にかける。
そのあいだにはビールの栓が空いている。
魚が焼ける前にビール自体が空いている。
けっきょく何を言いたいんだっけ。
そうだ、アフリカには人体に卵を産み付ける虫がいるから気をつけてね。
僕はもちろん産み付けられたよ。